在留資格「企業内転勤」とは?わかりやすく解説!

外国人が日本で働くための在留資格には、いろいろな種類があります。

その一つが、

「企業内転勤」

です。

「転勤なら、日本人の会社員と同じじゃないの?」

と思うかもしれません。

基本的なイメージはその通りです。

簡単にいうと、

海外の会社で働いている社員が、同じ会社やグループ企業の日本の事業所へ転勤して働くための在留資格

です。

今回は「企業内転勤」について、できるだけ簡単に説明します。


たとえばこんなケース

フィリピンにA社という会社があるとします。

A社には日本にも事業所があります。

フィリピンのA社で働いているマリアさんが、

「これから3年間、日本の事業所で働いてください」

と言われました。

フィリピンの事業所

↓

日本の事業所

へ転勤するわけです。

このような場合に利用できる可能性があるのが、

「企業内転勤」

という在留資格です。


普通の転職とは違う

企業内転勤で大切なのは、

海外から日本のまったく関係のない会社へ転職する制度ではない

ということです。

たとえば、

フィリピンのA社

↓

まったく関係のない日本のB社

という場合は、通常「企業内転勤」にはなりません。

企業内転勤では、外国の事業所と日本の事業所との間に、制度上認められる関係が必要です。


どんな会社間の転勤が対象になる?

代表的なのは、

本店と支店

親会社と子会社

などの関係です。

一定の要件を満たせば、子会社間などの転勤が対象になる場合もあります。

つまり、

「同じ会社・企業グループの中で国をまたいで転勤する」

というイメージを持つとわかりやすいでしょう。


日本でどんな仕事ができるの?

ここがとても重要です。

「企業内転勤」という名前だからといって、

転勤ならどんな仕事でもできる

わけではありません。

日本でできる仕事は、基本的に在留資格

「技術・人文知識・国際業務」

に該当する仕事です。

少し難しいので、簡単に見てみましょう。


「技術」の仕事

たとえば、

システムエンジニア

プログラマー

機械設計

技術者

などです。

理学や工学などの専門的な知識を使う仕事です。


「人文知識」の仕事

たとえば、

経理

マーケティング

企画

貿易業務

などです。

経済、法律、社会などの専門的な知識を使う仕事が該当します。


「国際業務」の仕事

たとえば、

通訳

翻訳

海外取引に関係する仕事

デザイン

など、外国の文化に基づく考え方や感覚を必要とする仕事があります。


工場の単純作業でも企業内転勤になる?

原則として、

「海外の工場から日本の工場へ転勤するから企業内転勤」

と単純に考えることはできません。

重要なのは、

日本で実際に何の仕事をするのか

です。

企業内転勤で認められる活動は「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な仕事です。

そのため、専門性を必要としない単純な製造作業などを中心に行う場合は、現在の「企業内転勤」には該当しません。


海外で1年以上働いていることも重要

企業内転勤には重要な条件があります。

原則として、

日本へ転勤する直前に、外国にある本店・支店などで1年以上継続して働いていること

が必要です。

しかも、その外国の事業所で、

「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事

をしている必要があります。


たとえばこんなイメージ

フィリピンの会社で、

システムエンジニアとして2年間勤務

↓

日本支店へ3年間転勤

↓

日本でもシステムエンジニアとして勤務

このようなケースなら、「企業内転勤」の考え方に合いやすくなります。

一方、

海外の会社へ入社

↓

2か月後に日本へ転勤

という場合には、原則として「海外で1年以上」という企業内転勤の基準を満たしません。


学歴は必要なの?

ここは「技術・人文知識・国際業務」との大きな違いです。

企業内転勤では、海外の事業所で一定期間、対象となる業務に従事していることなどが重要になります。

そのため、「技術・人文知識・国際業務」で問題になる大学卒業などの学歴・実務経験の要件とは異なる仕組みになっています。

つまり、

「大学を卒業していないから絶対に企業内転勤になれない」

とは限りません。

企業内転勤では、海外事業所での勤務実績が非常に重要なのです。


給料にもルールがある

企業内転勤だから、

「外国人なので給料を安くしていい」

ということではありません。

企業内転勤では、

日本人が同じような仕事をする場合と同等額以上の報酬

を受けることが基準の一つになっています。

国籍を理由に極端に安い給料にする制度ではありません。


日本で働く期間を決めて転勤する

企業内転勤のもう一つの特徴が、

「期間を定めて転勤する」

ことです。

たとえば、

「3年間、日本支店で働いてください」

という形です。

企業内転勤は、海外の事業所から日本の事業所へ一定期間転勤することを前提とした在留資格です。


在留期間は何年?

現在の「企業内転勤」の在留期間は、

5年

3年

1年

3か月

のいずれかです。

これは、

「必ず最初から5年間もらえる」

という意味ではありません。

入管の審査によって在留期間が決められます。

必要な場合には在留期間更新許可申請を行います。


「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」は何が違う?

この2つは非常に似ています。

なぜなら、企業内転勤で行う仕事自体が、基本的に「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事だからです。

簡単にすると、

企業内転勤技術・人文知識・国際業務
主なイメージ海外事業所から日本へ転勤日本の会社などと契約して専門職として働く
仕事技人国に該当する仕事専門的な技術・知識・国際業務
海外事業所での勤務原則1年以上必要企業内転勤と同じ条件ではない
転勤期間期間を定める転勤である必要はない
学歴・職歴企業内転勤独自の基準原則として学歴・実務経験などの基準あり

つまり、

仕事内容は似ているけれど、「海外からの転勤」というところが大きな違い

です。


家族を日本へ呼べる?

企業内転勤で日本に滞在する外国人は、条件を満たせば、

配偶者や子ども

を「家族滞在」の在留資格で日本へ呼べる可能性があります。

そのため、企業内転勤は本人だけでなく、家族と日本で生活するケースも考えられます。

もちろん、家族についても必要な申請を行い、許可を受ける必要があります。


企業内転勤になるまでの流れ

簡単にすると、

STEP1

海外の事業所で働く

↓

STEP2

原則1年以上、対象となる専門的な仕事をする

↓

STEP3

日本の事業所への転勤が決まる

↓

STEP4

日本で行う仕事内容などを確認する

↓

STEP5

在留資格の手続きをする

↓

STEP6

入管の審査・許可

↓

STEP7

日本へ入国

↓

日本の事業所で仕事をスタート!

というイメージです。


よくある勘違い①「海外から転勤すれば何の仕事でもできる」

違います。

現在の企業内転勤で行えるのは、基本的に「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な仕事です。


よくある勘違い②「同じ会社ならすぐ日本へ転勤できる」

原則として、転勤直前に外国の事業所で1年以上継続して対象業務に従事している必要があります。

単にグループ企業の社員だからOKというわけではありません。


よくある勘違い③「企業内転勤なら学歴が絶対必要」

企業内転勤には「技術・人文知識・国際業務」とは異なる独自の基準があります。

海外事業所での一定期間の勤務実績などがポイントになります。


2027年から「企業内転勤2号」が始まる

ここからは、これからの制度についてです。

2027年4月から「育成就労制度」が始まります。

それに合わせて、

「企業内転勤2号」

という新しい在留資格も創設されます。

現在の「企業内転勤」と名前が似ていますが、目的や対象となる活動が違うので注意が必要です。


企業内転勤2号って何?

これまで技能実習制度では、

海外の子会社や支店などの社員を、日本へ比較的短期間受け入れて研修する

という「企業単独型」の受入れが行われてきました。

制度改正後は、そのような受入れの一部について、一定の要件のもとで新しい

「企業内転勤2号」

を利用することが想定されています。

つまり、現在の企業内転勤が主に専門職の国際的な転勤を想定しているのに対し、新しい企業内転勤2号は、これまで企業単独型技能実習で行われていた一定の受入れを引き継ぐ役割があります。


現在の企業内転勤はどうなる?

2027年4月以降は、現在の「企業内転勤」は、

「企業内転勤1号」

という名称になります。

そのため、

企業内転勤1号

→ 現在の企業内転勤にあたる制度

企業内転勤2号

→ 2027年4月から新しく始まる制度

と整理するとわかりやすいでしょう。

名前は似ていますが、同じ制度の「レベル1・レベル2」という意味ではありません。

特定技能1号・2号のように、

「1号から経験を積んで2号へステップアップする制度」ではない

という点にも注意が必要です。


まとめ

在留資格「企業内転勤」とは、

海外の事業所で働く社員が、同じ会社やグループの日本の事業所へ一定期間転勤して、専門的な仕事をするための在留資格

です。

現在の制度で特に覚えておきたいポイントは、

海外事業所から日本事業所への転勤であること

日本で「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事をすること

原則として転勤直前に海外事業所で1年以上対象業務に従事していること

日本人と同等額以上の報酬を受けること

日本で働く期間を定めて転勤すること

です。

一言で覚えるなら、

「海外で働く専門職の社員を、日本の事業所へ期間限定で転勤させる在留資格」

と考えるとわかりやすいでしょう。

そして2027年4月からは、現在の制度が「企業内転勤1号」となり、新しく「企業内転勤2号」が始まります。

これから外国人材を受け入れる企業にとっては、**「企業内転勤1号」「企業内転勤2号」「育成就労」**の違いも重要になってくるでしょう。

企業内転勤制度

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