受入れ企業と登録支援機関の役割分担とは?わかりやすく解説!

特定技能1号の外国人を受け入れるときには、

「受入れ企業」

と

「登録支援機関」

という言葉がよく出てきます。

ここで、

「外国人を支援するのはどっち?」

「登録支援機関にお願いしたら、会社は何もしなくていいの?」

「給料を払うのは登録支援機関?」

と混乱する人もいるでしょう。

まず、一番簡単に整理すると、

受入れ企業=外国人を雇用する会社

登録支援機関=会社から委託を受けて、特定技能1号外国人への支援を行う機関

です。

この違いを理解すると、役割分担がかなりわかりやすくなります。


まず「受入れ企業」とは?

受入れ企業とは、

特定技能外国人と雇用契約を結び、実際に働いてもらう会社

です。

正式には、

「特定技能所属機関」

と呼ばれます。

たとえば、自動車整備会社がフィリピン人のAさんを特定技能1号で採用したとします。

Aさんと雇用契約を結ぶのは、

自動車整備会社

です。

登録支援機関ではありません。


登録支援機関とは?

登録支援機関とは、

受入れ企業から委託を受けて、特定技能1号外国人への支援を実施する機関

です。

特定技能1号では、外国人が日本で安心して働き、生活できるように支援する必要があります。

しかし、

「外国語に対応できる社員がいない」

「外国人支援の経験がない」

「支援する人員が足りない」

という会社もあります。

そこで、一定の要件を満たして出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に支援を委託することができます。


3者の関係を理解しよう

簡単に図にすると、

受入れ企業

↓ 雇用契約・給料・仕事

特定技能外国人

という関係があります。

そして、

受入れ企業

↓ 支援を委託

登録支援機関

↓ 支援

特定技能1号外国人

という関係もあります。

つまり、

「雇用する会社」と「支援を行う機関」は別

と考えるとわかりやすいでしょう。


受入れ企業の一番大きな役割は「雇用」

外国人を雇用しているのは受入れ企業です。

そのため、

給料を支払う

適切な仕事をしてもらう

労働時間を管理する

休日を与える

安全な職場環境を整える

社会保険など必要な手続きを行う

といった、雇用主としての責任は受入れ企業にあります。

登録支援機関へ支援を委託しても、この責任が登録支援機関へ移るわけではありません。


登録支援機関の大きな役割は「支援」

一方、登録支援機関は、会社から委託された支援計画に基づいて外国人への支援を行います。

特定技能1号では、外国人が安心して日本で働き、生活するための支援があります。

代表的なのが、

①事前ガイダンス

②出入国時の送迎

③住居確保・生活に必要な契約の支援

④生活オリエンテーション

⑤日本語学習の機会の提供

⑥相談・苦情への対応

⑦日本人との交流促進

⑧一定の場合の転職支援

⑨定期的な面談

⑩行政手続きの支援

です。

登録支援機関へ支援を委託した場合には、こうした支援を支援計画に沿って実施します。


具体例で考えてみよう

フィリピン人のAさんが、自動車整備会社で働いているとします。

仕事を教える

→ 受入れ企業

自動車の点検方法や整備方法など、実際の仕事を教えるのは会社です。


給料を支払う

→ 受入れ企業

Aさんの雇用主は会社なので、給料を支払うのも会社です。


労働時間を管理する

→ 受入れ企業

残業時間や休日などの労務管理も会社の役割です。


日本の生活ルールを説明する

→ 登録支援機関に委託可能

ゴミの出し方、交通ルール、病院の利用方法、災害時の対応などを説明する「生活オリエンテーション」は、登録支援機関へ委託できます。


定期面談をする

→ 登録支援機関に委託可能

外国人が仕事や生活で困っていないかを確認する定期面談も、支援計画に基づいて登録支援機関が実施できます。


外国人から生活相談を受ける

→ 登録支援機関に委託可能

「病院へ行きたい」

「アパートで困っている」

といった相談への対応も支援の一つです。


会社は自分で支援してもいいの?

もちろん可能です。

受入れ企業自身が必要な支援体制などの基準を満たしていれば、

自社で支援を行う

こともできます。

つまり、

特定技能外国人を採用したら必ず登録支援機関を使わなければならない

わけではありません。


登録支援機関に全部お願いすることもできる

受入れ企業は、1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関へ委託することができます。

特に、

支援計画の全部を登録支援機関へ委託する

という方法があります。

支援計画の全部を登録支援機関へ委託した場合には、受入れ企業は外国人を支援するための体制について一定の基準を満たしているものと扱われます。

そのため、自社で支援体制を整えることが難しい企業にとって、登録支援機関への全部委託は重要な選択肢です。


「全部委託=会社は何もしなくていい」ではない

ここが最も重要なポイントです。

支援を登録支援機関へ全部委託しても、

外国人を雇用しているのは受入れ企業

です。

そのため、

給料

労働時間

休日

仕事内容

安全管理

職場環境

など、雇用主としての責任まで登録支援機関に丸投げすることはできません。

たとえば外国人から、

「残業代が支払われていません」

という相談が登録支援機関にあったとします。

登録支援機関が相談を受けることはできます。

しかし、

残業代を適切に支払う責任があるのは雇用主である受入れ企業

です。


登録支援機関は「外国人の上司」ではない

登録支援機関は外国人を支援しますが、

勤務先の上司

ではありません。

たとえば、

「今日はこの車を整備してください」

「この機械を使って作業してください」

「明日は9時に出勤してください」

といった業務上の指示は、基本的に勤務先である受入れ企業が行います。

登録支援機関は、

仕事を指示する会社ではなく、生活や就労を支援する存在

と考えるとわかりやすいでしょう。


逆に登録支援機関へ「任せっぱなし」もよくない

受入れ企業が、

「外国人のことは全部、登録支援機関に任せています」

となってしまうのも望ましくありません。

外国人が毎日働いている場所は会社です。

現場では、

仕事を理解できているか

人間関係で困っていないか

安全に働けているか

最近元気がないのではないか

といった変化に気づけることがあります。

登録支援機関だけでは、毎日の職場の様子まですべて把握できるわけではありません。


理想は「会社+登録支援機関」の連携

大切なのは、

受入れ企業と登録支援機関が情報を共有すること

です。

たとえば会社が、

「最近Aさんの元気がありません」

と登録支援機関へ伝える。

↓

登録支援機関がAさんと面談する。

↓

「実はアパートで困っていることがあります」

という話が出る。

↓

登録支援機関が生活面をサポートする。

このように、

会社は職場の変化に気づく

登録支援機関は支援の専門性を生かす

という役割分担ができます。


会社と登録支援機関で情報共有したいこと

たとえば、

外国人の仕事の状況

日本語コミュニケーション

遅刻・欠勤

健康状態

生活上のトラブル

外国人からの相談

定期面談で確認した内容

在留資格・手続きに関すること

などです。

もちろん、個人情報の取扱いには注意する必要があります。

必要な情報を適切に共有しながら支援することが重要です。


登録支援機関を選ぶときは「料金だけ」で決めない

登録支援機関によって、対応できる内容や体制は異なります。

そのため、

「一番安いところにしよう」

だけで決めるのはおすすめできません。

たとえば、

外国人が理解できる言語に対応できるか

緊急時に対応できるか

会社とこまめに連絡を取れるか

外国人の相談に丁寧に対応できるか

制度を正しく理解しているか

などを確認することが大切です。


登録支援機関も「丸投げ」はできない

登録支援機関が受入れ企業から支援計画の実施を委託された場合、

「さらに別の会社へ全部やってもらおう」

という再委託は認められていません。

登録支援機関自身が、委託を受けた支援計画に基づいて支援業務を行う必要があります。

ただし、支援を行う際に通訳者を利用するなど、支援業務を補助してもらうことは可能です。


受入れ企業と登録支援機関を比較すると

受入れ企業登録支援機関
外国人を雇用する○×
給料を支払う○×
仕事を指示する○×
労働時間を管理する○×
職場の安全を管理する○×
支援計画を作成する主体○支援実施を受託
生活オリエンテーション自社支援なら実施委託を受ければ実施
相談対応自社支援なら実施委託を受ければ実施
定期面談自社支援なら実施委託を受ければ実施
外国人の生活支援自社支援なら実施委託を受ければ実施

簡単にまとめると、

受入れ企業=「雇用の責任者」

登録支援機関=「委託された支援の実施者」

です。


外国人から見れば「どちらも大切」

外国人本人からすると、

「これは会社の仕事だから会社へ」

「これは支援機関の仕事だから支援機関へ」

と毎回正確に判断するのは難しいでしょう。

だからこそ、

仕事の相談は誰へ

生活の相談は誰へ

緊急時は誰へ

という連絡先を明確にしておくことが大切です。

そして、どちらに相談が来ても、

「それはうちの仕事ではありません」

で終わらせず、必要な担当者につなぐことが重要です。


2027年4月から支援体制のルールも変わる

特定技能の支援体制については、2027年4月1日から新しい要件が施行される予定です。

支援責任者・支援担当者の配置や、支援責任者に対する養成講習など、支援体制に関するルールが変わります。

そのため、受入れ企業・登録支援機関ともに、

「今までのやり方でずっと大丈夫」

と考えず、最新の制度を確認することが重要です。


まとめ

受入れ企業と登録支援機関の役割分担を一言で表すと、

受入れ企業=外国人を「雇用する」

登録支援機関=委託を受けて外国人を「支援する」

です。

登録支援機関へ支援を委託しても、

給料を支払う

労働時間を管理する

適切な仕事をしてもらう

安全な職場をつくる

といった雇用主としての責任は、受入れ企業にあります。

一方、登録支援機関は、委託された支援計画に基づき、

事前ガイダンス

生活オリエンテーション

相談対応

定期面談

など、特定技能1号外国人が安心して働き生活するための支援を行います。

そして最も大切なのは、

「会社か登録支援機関か」ではなく、「会社と登録支援機関が連携すること」

です。

会社は毎日の職場を見る。

登録支援機関は支援の専門性を生かす。

お互いに情報を共有する。

その結果、

外国人が安心して働ける

会社も安心して外国人を雇用できる

という環境をつくることができます。

理想的な関係は、

「会社が登録支援機関に丸投げする」のではなく、「会社と登録支援機関がチームになる」

ことだと考えると、役割分担がとてもわかりやすくなるでしょう。

特定技能の役割分担

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