外国人が日本で生活したり、働いたりするときによく出てくる言葉があります。
それが、
「在留資格(ざいりゅうしかく)」
です。
ニュースなどで、
「特定技能」
「留学」
「技術・人文知識・国際業務」
「永住者」
といった言葉を聞いたことがあるかもしれません。
実は、これらは在留資格の名前です。
では、そもそも在留資格とは何なのでしょうか?
簡単にいうと、
在留資格=外国人が「日本で何をしてよいのか」などを決める資格
です。
今回は、在留資格の基本をできるだけ簡単に説明します。
在留資格を「入場券」で考えてみよう
在留資格という言葉は少し難しいですよね。
そこで、テーマパークのチケットをイメージしてみましょう。
チケットによって、
「このエリアに入れます」
「このアトラクションを利用できます」
といったルールが決まっているとします。
在留資格も少し似ています。
外国人が日本に在留する場合、
どのような目的で日本にいるのか
によって、できる活動などが決まります。
たとえば、
日本で勉強する
会社で働く
家族と暮らす
などです。
つまり、
「日本でどのような活動をしてよいのか」を決めるルール
と考えるとわかりやすいでしょう。
外国人なら誰でも自由に日本で働けるの?
答えは、
いいえ
です。
外国人は、持っている在留資格によって、日本でできる活動が違います。
たとえば、
「留学」
の在留資格は、基本的に日本で勉強するためのものです。
一方、
「特定技能」
は、人手不足となっている一定の産業分野で働くための在留資格です。
つまり、
「日本に住んでいる外国人なら、どんな仕事でも自由にできる」
というわけではありません。
在留資格にはいろいろな種類がある
日本の在留資格には、たくさんの種類があります。
目的によって大きく性格が違います。
代表的なものを見てみましょう。
① 特定技能
特定技能は、
人手不足となっている一定の産業分野で外国人が働くための在留資格
です。
たとえば、
介護
建設
自動車整備
農業
外食業
などの分野があります。
特定技能には、
特定技能1号
と
特定技能2号
があります。
② 技術・人文知識・国際業務
名前が長いので、
「技人国(ぎじんこく)」
と呼ばれることもあります。
たとえば、
エンジニア
通訳・翻訳
マーケティング
貿易関係の仕事
など、専門的な知識や能力を使う仕事が対象になります。
ただし、本人の学歴・職歴と仕事内容などについて条件があります。
③ 留学
留学は、
日本の学校で勉強するための在留資格
です。
たとえば、
大学
専門学校
日本語学校
などで学ぶ外国人が対象になります。
留学生の本来の活動は、
勉強
です。
そのため、自由にフルタイムで働けるわけではありません。
ただし、「資格外活動許可」を受ければ、決められた範囲内でアルバイトをすることができます。
④ 技能実習
技能実習は、
日本で技能などを学び、その技能を母国へ移転することを目的としてきた制度
です。
技能実習生は、日本の会社などで働きながら技能を学びます。
ただし、技能実習制度は大きく変わります。
2027年4月から、新しい
「育成就労制度」
が始まります。
今後は、技能実習から育成就労への移行が進んでいきます。
⑤ 家族滞在
家族滞在は、日本で働いたり勉強したりしている外国人の、
配偶者や子ども
などが日本で生活するための在留資格です。
家族滞在は、基本的に家族として生活するための資格なので、自由にフルタイムで働ける資格ではありません。
ただし、資格外活動許可を受けることで、一定の範囲でアルバイトができる場合があります。
⑥ 永住者
永住者は、
日本での在留期間に制限なく生活できる在留資格
です。
就労活動についても、一般的な就労系在留資格のような職種による制限はありません。
ただし、誰でもすぐに永住者になれるわけではなく、永住許可を受けるためには一定の条件があります。
⑦ 日本人の配偶者等
日本人と結婚している外国人などが対象となる在留資格です。
この在留資格も、就労活動について職種による制限が基本的にありません。
そのため、
会社員
飲食店
工場
など、幅広い仕事をすることができます。
在留資格によって「できる仕事」が違う
ここが非常に重要です。
たとえば、外国人Aさんが、
「技術・人文知識・国際業務」
の在留資格を持っているとします。
だからといって、
「日本で働ける資格だから、どんな仕事でもやっていい」
というわけではありません。
その在留資格で認められている活動の範囲で働く必要があります。
つまり、
「働ける在留資格を持っている」=「どんな仕事でもできる」
ではありません。
在留資格と「ビザ」は同じなの?
ここは、とてもよく混同されます。
日常会話では、
「就労ビザ」
「学生ビザ」
などと言うことがあります。
しかし、厳密には、
ビザ(査証)と在留資格は別のもの
です。
簡単にいうと、
ビザ(査証)=日本へ入国するために必要となる手続きの一つ
在留資格=日本に入国・在留して、どのような活動などができるかを示す資格
と考えるとわかりやすいでしょう。
「在留カード」とは?
日本に中長期間在留する外国人には、原則として
在留カード
が交付されます。
在留カードには、
氏名
生年月日
国籍・地域
在留資格
在留期間
就労制限に関する情報
などが記載されています。
外国人を採用する会社にとって、在留カードの確認は非常に重要です。
会社は在留カードの何を見るの?
外国人を採用するときには、
「在留カードを持っているから大丈夫」
ではありません。
特に確認したいのは、
在留資格
在留期間(満了日)
就労制限の有無
などです。
そして、
「自社で予定している仕事を、この在留資格で行えるのか」
を確認することが重要です。
在留期間とは?
在留資格によっては、日本にいられる期間が決められています。
これを、
在留期間
といいます。
たとえば、
「1年」
「3年」
「5年」
などです。
在留期間には満了日があります。
日本で引き続き活動する場合には、必要に応じて在留期間の更新手続きを行います。
在留期間が切れたらどうなるの?
在留期間の満了日を過ぎても、何もしないまま日本に滞在してよいわけではありません。
必要な場合には、
在留期間更新許可申請
などの手続きを行います。
外国人本人だけでなく、雇用する会社も在留期限を把握しておくことが大切です。
仕事を変えたら在留資格も変わるの?
必ず変わるとは限りません。
重要なのは、
新しい仕事が現在の在留資格で認められる活動に当てはまるか
です。
同じ在留資格の範囲で転職できる場合もあります。
一方、仕事内容が大きく変わる場合には、
在留資格変更許可申請
などが必要になることがあります。
「資格外活動」とは?
在留資格で認められている活動とは別の活動を行う場合に、
資格外活動許可
が必要になることがあります。
わかりやすい例が留学生のアルバイトです。
留学生の本来の活動は、
学校で勉強すること
です。
しかし、資格外活動許可を受ければ、一定の条件のもとでアルバイトをすることができます。
つまり、
「本来の在留資格とは別の活動を、許可を受けて行う」
という仕組みです。
在留資格が違うと、同じ外国人でも働き方が変わる
たとえば、同じ外国人でも、
留学
なら勉強が中心です。
特定技能
なら決められた産業分野で働きます。
技術・人文知識・国際業務
なら専門知識などを使った仕事をします。
永住者
なら、就労活動について職種による制限は基本的にありません。
つまり、
「外国人」という一つの働き方があるわけではない
のです。
どの在留資格を持っているのかによって、日本でできる活動が変わります。
会社が外国人を採用するときに大切なこと
外国人を採用するときには、
「日本語が話せるから採用する」
「経験があるから採用する」
だけでは不十分です。
必ず、
「この人の在留資格で、この仕事をしてもらえるのか?」
を確認する必要があります。
仕事内容と在留資格が合っていなければ、問題になる可能性があります。
外国人採用では、
人を見ること
と同じくらい、
在留資格と仕事内容を確認すること
が重要なのです。
在留資格を学校にたとえると?
最後に、もっと簡単なたとえで整理してみましょう。
学校には、
生徒
先生
事務職員
など、それぞれ立場があります。
立場によって、できることや役割が違います。
在留資格も似ています。
外国人が日本で、
何を目的に滞在しているのか
どのような活動ができるのか
を決めるのが在留資格です。
まとめ
在留資格とは、
外国人が日本に在留し、「どのような活動をしてよいのか」などを決める資格
です。
代表的なものには、
特定技能
技術・人文知識・国際業務
留学
技能実習
家族滞在
永住者
日本人の配偶者等
などがあります。
そして非常に重要なのが、
在留資格によって、できる仕事や活動が違う
ということです。
また、
ビザ(査証)と在留資格は厳密には別物
です。
外国人を採用するときには、
「外国人だから」
という大きなくくりで考えるのではなく、
どの在留資格を持っているのか
在留期限はいつまでなのか
予定している仕事が認められているのか
を確認することが重要です。
在留資格を一言で覚えるなら、
「外国人が日本で何をするために滞在できるのかを示す資格」
と覚えておくとわかりやすいでしょう。
