外国人が日本で働きながら技能を学ぶ制度として、これまで「技能実習制度」が使われてきました。
しかし、この技能実習制度は大きく変わります。
2027年4月1日から、新しい「育成就労制度」がスタートします。
「また難しそうな制度が出てきた……」
と思うかもしれません。
でも、基本的な考え方はそれほど難しくありません。
今回は、
「技能実習から育成就労になると、何が変わるの?」
という疑問を、できるだけ簡単に説明します。
そもそも技能実習とは?
まず、これまでの「技能実習制度」から見てみましょう。
技能実習制度は、日本で外国人に技能や知識を学んでもらい、それを母国の発展に役立ててもらうことを目的とした制度です。
簡単にいうと、
日本で技能を学ぶ → 学んだ技能を母国で生かす
という考え方です。
つまり、もともとは日本の人手不足を解消するための制度として作られたわけではありません。
なぜ技能実習制度を変えるの?
技能実習制度には、さまざまな問題が指摘されてきました。
たとえば、
「制度の目的と、実際の働き方が合っていないのでは?」
「外国人がもっと安心して働ける制度にしたほうがいいのでは?」
といった問題です。
一方、日本では少子高齢化などによって、人手不足が大きな問題になっています。
そこで技能実習制度を見直し、新しく作られるのが、
「育成就労制度」
です。
育成就労制度とは?
育成就労制度の目的は、大きく2つあります。
① 外国人を育成すること
そして、
② 日本で働く人材を確保すること
です。
つまり、
「外国人に技能を身につけてもらいながら、日本の人手不足の分野でも活躍してもらおう」
という制度です。
何年間働くの?
育成就労制度では、原則として3年間働きながら技能を身につけます。
では、3年間で何を目指すのでしょうか?
大きな目標があります。
それが、
「特定技能1号」のレベルになること
です。
つまり、
育成就労
↓
3年間働きながら技能や日本語を学ぶ
↓
特定技能1号を目指す
という流れです。
学校にたとえると?
学校にたとえてみましょう。
育成就労は、
「仕事をしながら勉強する期間」
のようなものです。
そこで3年間、仕事や日本語を学びます。
そして一定の技能や日本語能力を身につけたら、
「特定技能1号」
へステップアップします。
特定技能では、身につけた技能を使って日本で働きます。
イメージとしては、
育成就労=育てる期間
↓
特定技能=活躍する期間
と考えるとわかりやすいでしょう。
技能実習と何が違うの?
一番大きな違いは制度の目的です。
技能実習制度は、
技能を学び、母国の発展に役立ててもらう
ことを目的としていました。
一方、育成就労制度では、
外国人を育成すること+日本の人手不足の分野で人材を確保すること
が目的です。
つまり、
技能実習
「技能を学んでもらおう」
から、
育成就労
「外国人を育て、日本で活躍してもらおう」
へと、制度の考え方が大きく変わります。
仕事を変えることもできるようになる?
ここも大きな変更点です。
技能実習制度では、外国人本人の希望だけで自由に実習先を変えることは、原則としてできませんでした。
育成就労制度では、一定の条件を満たせば、本人の希望によって働く会社を変えることができる仕組みが導入されます。
これを、
「転籍」
といいます。
簡単にいえば、
「条件を満たせば、別の会社へ移ることができる」
ということです。
ただし、
「今日会社を辞めて、明日から好きな会社で働きます!」
というように、完全に自由な転職ができるわけではありません。
同じ業務区分であることなど、さまざまな条件があります。
日本語の勉強も重要になる
育成就労制度では、仕事の技能だけでなく日本語能力も重要です。
育成就労から特定技能1号へ進むためには、原則として技能と日本語の試験に合格する必要があります。
日本語については、基本的に日本語能力試験(JLPT)のN4など、A2相当以上のレベルが目標になります。
つまり、
仕事を覚える
だけではなく、
日本語も勉強する
ことが重要になります。
技能実習から育成就労になるとどう変わる?
簡単に比べてみましょう。
| 技能実習 | 育成就労 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 技能を学び、国際貢献につなげる | 人材育成+人材確保 |
| 基本的な期間 | 最長5年 | 原則3年 |
| その先 | 特定技能へ移る人もいる | 特定技能1号への移行を目指す |
| 本人希望の転籍 | 原則できない | 条件を満たせば可能 |
| 日本語 | 学習・指導あり | 特定技能への移行も見据えて重要 |
「育成就労→特定技能」という流れが重要
新しい制度を理解するうえで、一番重要なのがここです。
これからは、
育成就労 → 特定技能1号
という流れが、最初から意識された制度になります。
たとえば外国人のAさんが日本へ来たとします。
まず育成就労として働きます。
そこで3年間、
仕事を覚える
↓
日本語を勉強する
↓
技能を高める
↓
必要な試験に合格する
そして条件を満たせば、
特定技能1号へ
という流れになります。
さらに技能を高めて、対象分野で必要な条件を満たせば、
特定技能2号
を目指せる場合もあります。
つまり、
育成就労
↓
特定技能1号
↓
特定技能2号
というキャリアアップの道が見えやすくなるわけです。
2027年になったら技能実習生は全員いなくなるの?
ここは勘違いしやすいところです。
2027年4月1日になった瞬間に、現在の技能実習生が全員「育成就労」に変わるわけではありません。
すでに日本で技能実習をしている人については、一定の経過措置があります。
条件を満たせば、それまでの技能実習計画に基づいて技能実習を続けることができます。
そのため、しばらくの間は、
「技能実習で働いている人」
と
「育成就労で働いている人」
が日本に同時にいる時期があると考えておきましょう。
会社にとっては何が変わる?
外国人を受け入れる会社にとっても大きな変化です。
これからは単純に、
「外国人に仕事をしてもらう」
だけではなく、
「3年間でどのように育てるのか?」
を考えることが、より重要になります。
仕事を教える。
日本語学習を支える。
技能を身につけてもらう。
そして、
特定技能1号へステップアップできる人材を育てる。
会社側にも、このような視点が求められるようになります。
まとめ
技能実習から育成就労への変更は、外国人雇用制度の大きな変化です。
難しく感じるかもしれませんが、まずは次のように覚えてみてください。
技能実習
→ 日本で技能を学び、母国で生かしてもらうことが基本的な考え方
育成就労
→ 日本で働きながら外国人を育て、人材も確保する制度
そして育成就労では、原則3年間で、
「特定技能1号のレベルまで成長する」
ことを目指します。
つまり、これから重要になる流れは、
育成就労
↓
特定技能1号
↓
特定技能2号
です。
「技能実習が育成就労という名前に変わるだけ」
ではありません。
制度の目的や、外国人が日本で働きながら成長していく仕組みそのものが変わる。
ここが一番大切なポイントです。
