特定技能1号の外国人への支援の中に、
「定期的な面談」
があります。
「会社で普通に話しているから、わざわざ面談しなくてもいいのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、定期面談には大切な役割があります。
簡単にいうと、
定期面談=外国人が仕事や生活で困っていないか、定期的に話を聞いて確認する支援
です。
今回は、特定技能の定期面談について、できるだけわかりやすく説明します。
なぜ定期面談が必要なの?
たとえば、日本で働いている外国人が次のような悩みを抱えていたとします。
「仕事が難しくて困っている」
「会社の人とうまく話せない」
「残業代について聞きたい」
「アパートでトラブルがある」
「体調が悪いけれど病院へ行けない」
しかし、外国人本人から会社へ相談できるとは限りません。
「会社に言ったら怒られるかもしれない」
「誰に相談すればいいかわからない」
「日本語でうまく説明できない」
と考えて、我慢してしまうこともあります。
そこで、
定期的に会社側から話を聞く機会をつくる
ことが大切になります。
それが定期面談です。
定期面談は特定技能1号の義務的支援
特定技能1号では、外国人が安心して働き、生活できるようにさまざまな支援を行います。
定期面談は、その義務的支援の一つです。
つまり、
「問題が起きたときだけ面談する」
というものではありません。
特に問題がなさそうに見えていても、決められた方法に沿って定期的に状況を確認することが重要です。
誰が面談をするの?
基本的には、
受入れ企業(特定技能所属機関)の支援責任者・支援担当者
などが対応します。
会社が支援を登録支援機関へ委託している場合には、登録支援機関の担当者が行うこともあります。
つまり、
受入れ企業が自社で支援する
または
登録支援機関へ支援を委託する
という形があります。
誰と面談するの?
ここは重要なポイントです。
面談する相手は、
① 特定技能1号外国人本人
だけではありません。
② その外国人を監督する立場にある人
とも面談を行います。
たとえば、外国人が工場で働いている場合、
外国人本人
と
現場の上司や監督者
の両方から話を聞くイメージです。
なぜ外国人だけではなく上司とも話すの?
外国人本人と会社側では、見えているものが違うからです。
たとえば外国人本人は、
「仕事は問題ありません」
と言っているかもしれません。
一方、上司から話を聞くと、
「安全ルールの理解が少し不十分です」
「日本語での指示が伝わりにくいことがあります」
という話が出てくるかもしれません。
反対に、会社側は、
「特に問題ありません」
と思っていても、外国人本人は悩みを抱えているかもしれません。
両方から話を聞くことで、
一方からだけでは見えない問題を発見できる
というメリットがあります。
どんなことを確認するの?
定期面談では、仕事だけではなく生活についても確認します。
たとえば、次のような内容です。
仕事で困っていることはないか
契約した仕事内容と実際の仕事が合っているか
給料が適切に支払われているか
労働時間や休日に問題がないか
職場の人間関係に問題がないか
生活で困っていることはないか
住居でトラブルがないか
健康面で困っていないか
差別や嫌がらせなどを受けていないか
会社へ言いにくい悩みを抱えていないか
などです。
「仕事は大丈夫?」だけでは足りない
面談で、
「仕事は大丈夫ですか?」
と聞いて、
「はい、大丈夫です」
と答えたので終了。
これでは、本当の問題が見つからないことがあります。
たとえば、
「最近、仕事で困ったことはありましたか?」
「給料明細でわからないところはありますか?」
「休みは取れていますか?」
「上司からの指示は理解できますか?」
「寮やアパートで困っていることはありますか?」
など、具体的に質問すると話しやすくなります。
外国人が理解できる言葉で話す
定期面談でも、
外国人が十分に理解できる言語で行うこと
が大切です。
日本語が十分にわからない外国人に難しい日本語だけで質問しても、本当の状況を確認できません。
必要に応じて、
通訳
母国語
わかりやすい日本語
などを活用します。
大切なのは、
面談を実施したという事実ではなく、本人ときちんと意思疎通できたか
ということです。
どのくらいの頻度で行うの?
特定技能1号の定期面談については、制度上定められた頻度に沿って実施する必要があります。
ここは制度改正によって実施方法などが変更される可能性があるため、
「以前からこうだったから今回も同じ」
と判断するのではなく、実施時点の出入国在留管理庁の最新の運用要領を確認することが重要です。
会社や登録支援機関では、
「次の面談はいつか」
を管理できる仕組みを作っておくとよいでしょう。
面談はどこで行うの?
定期面談では、
外国人が安心して話せる環境
を作ることが重要です。
たとえば外国人が、
「上司について相談したい」
と思っているのに、その上司がずっと隣にいたらどうでしょうか。
本当のことを話しにくいですよね。
そのため、外国人本人から話を聞くときには、
本人が安心して話せる状況をつくる
という視点が大切です。
オンライン面談でもいいの?
制度上の条件を満たせば、一定の場合にはオンラインなどの方法が認められることがあります。
ただし、
電話したからOK
メッセージを送ったからOK
と単純に考えないようにしましょう。
定期面談は、外国人本人の状況を適切に確認するためのものです。
実際に行う際には、最新の運用要領で認められている実施方法を確認することが重要です。
問題が見つかったらどうするの?
定期面談は、
話を聞いて終わり
ではありません。
たとえば、
「給料が契約どおり支払われていない」
「長時間労働になっている」
「職場で嫌がらせを受けている」
「危険な働き方をしている」
といった問題が見つかった場合には、内容に応じて必要な対応を行います。
重大な法令違反などを把握した場合には、関係する行政機関への通報などが必要になることもあります。
つまり、
問題を発見して、必要な対応につなげる
ところまでが重要なのです。
面談の記録も大切
定期面談を行ったら、
いつ面談したか
誰と面談したか
どんな内容を確認したか
問題はあったか
どのように対応したか
などを記録しておくことも重要です。
会社や登録支援機関の担当者が変わっても、
「前回どんな話があったのか」
を確認できるようになります。
面談は「監視」ではない
外国人からすると、
「面談=会社にチェックされる時間」
と感じることもあるかもしれません。
しかし、本来の目的は外国人を監視することではありません。
困っていることを早く見つけて支援すること
が大きな目的です。
そのため、
「何か問題を起こしていませんか?」
という聞き方だけではなく、
「困っていることはありませんか?」
「会社に言いにくいことでも大丈夫ですよ」
という雰囲気をつくることが大切です。
普段の会話も大切
定期面談があるからといって、
「面談の日だけ話せばいい」
というわけではありません。
外国人が困ったときに、
いつでも相談できる環境
をつくることも大切です。
日頃から、
「最近どうですか?」
「仕事には慣れましたか?」
「何か困っていませんか?」
と声をかけていれば、小さな問題の段階で相談してもらえる可能性があります。
定期面談で早期発見できること
定期面談をきちんと行うことで、
仕事上のトラブル
給料・労働時間の問題
人間関係
日本語コミュニケーションの問題
生活上の問題
健康上の困りごと
などを早く見つけられる可能性があります。
問題が大きくなってから対応するより、
小さいうちに気づいて対応する
ほうが、外国人にとっても会社にとってもよいでしょう。
定期面談は会社にもメリットがある
定期面談は、
外国人のためだけの制度
と考える必要はありません。
会社にとっても、
「外国人がなぜ仕事を理解できていないのか」
「なぜ最近元気がないのか」
「なぜ退職を考えているのか」
といったことを知る機会になります。
問題を早期に発見できれば、
離職防止
職場環境の改善
安全性の向上
外国人との信頼関係づくり
にもつながります。
定期面談で大切なのは「相談できる関係」
定期面談で最も大切なのは、
質問項目を全部聞くこと
だけではありません。
外国人本人が、
「この人には困ったことを話しても大丈夫」
と思える関係をつくることです。
どれだけ立派な面談シートを作っても、外国人が本当のことを話せなければ問題を発見できません。
逆に、
「困ったことがあったら相談してください」
と普段から伝えていれば、定期面談もより意味のある時間になります。
まとめ
特定技能の定期面談とは、
特定技能1号外国人が仕事や生活で困っていないか、定期的に話を聞いて確認する義務的支援
です。
ポイントは、
外国人本人と面談する
外国人を監督する立場の人とも面談する
仕事だけでなく生活についても確認する
本人が十分理解できる言語で話す
問題が見つかったら必要な対応につなげる
面談内容を記録する
ことです。
そして、定期面談で最も重要なのは、
「面談を実施した」という記録を作ることではなく、「困っていることを見つけること」
です。
外国人が、
「何かあったら相談できる」
と思える環境をつくる。
それが、定期面談の大切な役割です。
定期面談を単なる義務として行うのではなく、
外国人と会社の信頼関係をつくる機会
として活用していきましょう。
