特定技能で日本にいる外国人から、
「今の会社から転職できますか?」
と聞かれることがあります。
結論からいうと、
特定技能外国人は転職できます。
ただし、
「好きな会社・好きな仕事へ自由に転職できる」
という意味ではありません。
特定技能には、働くことができる分野や仕事内容についてルールがあります。
今回は、特定技能外国人の転職について、できるだけ簡単に説明します。
特定技能は転職できる!
まず一番大切なところです。
特定技能外国人は、条件を満たせば別の会社へ転職することができます。
たとえば、特定技能の外食業で働いているAさんが、
「別のレストランで働きたい」
と考えたとします。
転職先の会社や仕事内容などが特定技能の条件を満たしていれば、転職することが可能です。
つまり、
「一度入社した会社でずっと働かなければならない」
という制度ではありません。
どんな仕事にでも転職できるの?
ここは注意が必要です。
特定技能で働ける仕事は決められています。
そのため、
「転職できる=どんな仕事でもできる」
ではありません。
たとえば、
「外食業で働いていました」
↓
「明日からまったく関係のない会社で事務員として働きます」
というような転職を、特定技能のまま自由にできるわけではありません。
特定技能として認められている仕事である必要があります。
同じ分野なら転職できる?
基本的には、同じ特定技能の分野で条件を満たす仕事であれば、転職を考えることができます。
たとえば、
レストランA
↓
レストランB
のような外食業分野内での転職です。
ただし、ここにも注意があります。
同じ分野の中でも、仕事内容によって必要な技能が異なる場合があります。
そのため、
「同じ分野だから必ず大丈夫!」
とは限りません。
その人が転職先の仕事に必要な技能を持っているかも確認されます。
違う分野への転職はできる?
では、
「外食業から別の特定技能分野へ行きたい」
という場合はどうでしょうか?
条件を満たせば、別の特定技能分野へ移ることができる場合があります。
ただし、新しい分野で必要となる技能を持っていることを証明する必要があります。
たとえば、新しい分野の技能試験への合格が必要になる場合があります。
つまり、
外食業の条件を満たしている
からといって、
農業や建設などの条件も自動的に満たす
わけではありません。
分野が変われば、その分野の条件を確認する必要があります。
転職するときは入管への手続きが必要
ここは非常に重要です。
特定技能外国人は、新しい会社が決まったからといって、
「明日から新しい会社で働きます!」
と勝手に仕事を始めてはいけません。
転職する場合には、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
「特定技能から特定技能なのに、なぜ変更するの?」
と思うかもしれません。
特定技能では、どの会社と契約して、どのような仕事をするのかが重要だからです。
新しい会社で特定技能として働くための条件を満たしているか、入管の審査を受ける必要があります。
許可が出る前に新しい会社で働いていい?
基本的には、
必要な許可を受けてから新しい会社で働き始めます。
転職先が決まっただけで、すぐに働き始めてよいわけではありません。
必要な許可を受けずに働くと、在留資格上の問題になる可能性があります。
そのため、
転職先を決める
↓
必要な申請をする
↓
入管の審査を受ける
↓
許可
↓
新しい会社で働く
という順番を守ることが大切です。
転職するときの流れ
簡単にすると、次のようになります。
STEP1
転職先を探す
↓
STEP2
面接を受ける
↓
STEP3
新しい会社と雇用契約を結ぶ
↓
STEP4
新しい会社が特定技能の受入れ条件を満たしているか確認する
↓
STEP5
必要な支援計画などを準備する
↓
STEP6
入管へ在留資格変更許可申請をする
↓
STEP7
許可を受ける
↓
STEP8
新しい会社で仕事を始める
このような流れで考えるとわかりやすいでしょう。
転職先の会社にも条件がある
外国人本人が条件を満たしていても、それだけでは足りません。
転職先の会社も特定技能外国人を受け入れられる会社である必要があります。
たとえば、
適切な雇用契約を結ぶこと、
日本人と同等以上の報酬を支払うこと、
労働関係法令などを守っていること、
特定技能1号なら必要な支援を行えること、
分野ごとの条件を満たすこと、
などが必要です。
つまり、
外国人側の条件+会社側の条件
の両方が重要なのです。
転職したら特定技能1号の「5年」はリセットされる?
これは非常に重要です。
リセットされません。
特定技能1号で日本に在留できる期間は、原則として通算5年です。
たとえば、
会社Aで2年間働く
↓
会社Bへ転職
↓
「転職したから、また5年間働けます!」
とはなりません。
すでに特定技能1号として在留した期間も含めて計算されます。
つまり、
会社が変わっても、1号の通算在留期間は基本的に引き継がれる
と覚えておきましょう。
転職活動をしている期間は5年に入る?
特定技能1号の場合、転職活動をしている期間も原則として通算在留期間に含まれます。
そのため、
「仕事を辞めて1年間ゆっくり転職活動をして、そのあと残り5年間働こう」
ということはできません。
特定技能1号の時間は、会社を辞めたから止まるわけではないという点に注意しましょう。
会社を辞めたらすぐ日本から帰らないといけない?
雇用契約が終わったからといって、必ずその日に日本から帰国しなければならないわけではありません。
新しい会社を探して転職し、必要な手続きを行うことは可能です。
ただし、
「仕事をしていなくても、在留期限まで何もしなくていい」
という意味ではありません。
正当な理由なく特定技能としての活動を行わない状態が長く続くと、在留資格に影響する可能性があります。
そのため、転職する場合は早めに次の会社を探し、必要な手続きを進めることが大切です。
会社を辞めたら届出も必要
転職するときには、入管への申請だけでなく、必要な届出にも注意しましょう。
外国人本人にも、所属機関との契約が終了した場合などに届出が必要です。
また、受入れ企業側にも必要な届出があります。
「退職したら終わり」
ではなく、
退職→届出→転職先との契約→必要な申請
という手続きがあることを覚えておきましょう。
特定技能1号の外国人が転職したら支援はどうなる?
特定技能1号では、外国人への支援が必要です。
そのため、新しい会社でも必要な支援体制を整えます。
新しい会社が自分で支援する場合もあれば、登録支援機関へ委託する場合もあります。
つまり、会社が変わったからといって、
「もう支援はありません」
となるわけではありません。
転職先でも、特定技能1号として必要な支援を受けることになります。
技能実習との大きな違い
特定技能の転職を理解するときに、技能実習と比べるとわかりやすくなります。
技能実習制度では、技能実習を行う実習先を本人の希望だけで自由に変更することは原則としてできません。
一方、特定技能では、
条件を満たせば本人の意思で転職することができます。
ここは技能実習と特定技能の大きな違いの一つです。
「転職できます」と「自由に転職できます」は違う
この記事で一番覚えてほしいのはここです。
特定技能外国人は、
転職できます。
しかし、
何のルールもなく自由に転職できるわけではありません。
転職先の仕事内容、
外国人本人の技能、
新しい会社の受入れ条件、
入管への申請、
必要な届出、
などを確認する必要があります。
そのため、
「転職OK=普通の日本人とまったく同じ手続きで転職できる」
と考えないようにしましょう。
まとめ
特定技能外国人は、条件を満たせば転職できます。
覚えておきたいポイントは、
① 特定技能外国人は転職できる
② どんな仕事にでも自由に転職できるわけではない
③ 転職先の仕事に必要な技能が必要
④ 転職先の会社も受入れ条件を満たす必要がある
⑤ 転職時には原則として在留資格変更許可申請が必要
⑥ 許可前に勝手に新しい会社で働かない
⑦ 特定技能1号の通算5年は転職してもリセットされない
という点です。
一言でまとめるなら、
「特定技能は転職できる。でも、ルールと手続きがある」
これを覚えておけばOKです。
