特定技能外国人の転職を引き止めるには?外国人に長く働いてもらうためのコツ

「特定技能外国人から突然、会社を辞めたいと言われた……」

外国人を受け入れている企業では、このようなことが起こる場合があります。

せっかく仕事を教え、日本での生活もサポートしてきた会社としては、

「できれば辞めないでほしい」

と思うでしょう。

では、どうすれば転職を思いとどまってもらえるのでしょうか?

最初に大切なことをお伝えすると、

無理やり引き止めることはできません。

特定技能外国人は、一定の条件や手続きを満たせば転職することができます。

だからこそ大切なのは、

「辞めさせない」ではなく「ここで働き続けたいと思ってもらう」こと。

今回は、特定技能外国人から退職・転職の相談を受けたときの対応について考えてみましょう。


まず「なぜ辞めたいのか」を聞く

一番最初にすることは説得ではありません。

理由を聞くことです。

「辞めないでよ」

「せっかく採用したのに」

「会社もお金をかけたんだよ」

と最初から説得してしまうと、本当の理由を話してもらえなくなる可能性があります。

まずは、

「どうして転職したいと思ったの?」

と聞いてみましょう。

理由がわからなければ、会社として改善することもできません。


外国人が転職したい理由は一つとは限らない

「給料が安いからでしょう?」

と決めつけるのも危険です。

転職したい理由には、さまざまなものがあります。

たとえば、

給料を上げたい

残業が少なくて稼げない

逆に残業が多すぎる

仕事が思っていた内容と違った

職場の人間関係がうまくいかない

上司とのコミュニケーションが難しい

母国の家族へもっと仕送りしたい

別の地域で暮らしたい

友人や家族の近くで働きたい

将来のキャリアが見えない

などです。

外国人だから特別というより、日本人が転職を考える理由と共通するものもたくさんあります。


コツ①「給料」だけで解決しようとしない

退職相談を受けると、

「給料を上げれば残ってくれるのでは?」

と考えるかもしれません。

もちろん給与は重要です。

しかし、原因が人間関係なら給与だけ上げても問題は解決しません。

本人が、

「上司に毎日怒鳴られるのがつらい」

と思っているのに、

「じゃあ月5,000円上げるよ」

と言われても、気持ちは変わらないかもしれません。

大切なのは、

原因に合った改善をすることです。


コツ② 給料や評価の仕組みをわかりやすくする

一方で、待遇への不満が本当の原因なら、きちんと向き合う必要があります。

特に、

「頑張っても給料が変わらない」

「何をすれば評価されるのかわからない」

という状態は、働く意欲を失う原因になります。

たとえば、

「この仕事までできるようになったら昇給を検討します」

「リーダーになったら手当があります」

「この資格を取得すると評価が上がります」

など、将来が見える仕組みを作る方法があります。

外国人に限らず、

「頑張った先に何があるのか」

がわかる職場は重要です。


コツ③ キャリアを一緒に考える

特定技能外国人の中には、

「日本で長く働きたい」

と考えている人もいます。

その場合、

「この会社で働き続けると将来どうなるの?」

ということは非常に重要です。

たとえば、

特定技能1号

↓

仕事を覚える

↓

後輩を指導する

↓

リーダーになる

↓

条件を満たせる分野なら特定技能2号を目指す

といった将来像が見えれば、

「この会社でもう少し頑張ってみよう」

と思う理由になるかもしれません。

単に現在の仕事だけではなく、数年後の姿について話してみましょう。


コツ④ 人間関係を確認する

退職理由として見逃してはいけないのが、職場の人間関係です。

本人が、

「仕事が嫌です」

と言っていても、詳しく話を聞くと、

実は特定の上司との関係が原因だった

ということもあります。

特に外国人の場合、日本語の問題もあるため、

「言い方がきつかった」

「指示の意味がわからなかった」

「注意された理由が理解できなかった」

というすれ違いが起きることがあります。

外国人だけに、

「もっと日本語を勉強してください」

と言うのではなく、日本人側も、

わかりやすい日本語で説明する

感情的に怒鳴らない

理解できたか確認する

といった工夫ができます。


コツ⑤ 生活面の悩みも聞いてみる

仕事には問題がなくても、生活上の理由から転職を考えることがあります。

たとえば、

「家賃が高い」

「職場まで遠い」

「近くに友人がいない」

「買い物が不便」

「家族や友人の近くへ引っ越したい」

などです。

会社側が解決できる問題なら、改善できる可能性があります。

ただし、

会社が外国人の私生活を過度に管理することとは違います。

あくまで本人が困っていることを聞き、必要な範囲でサポートするという考え方が大切です。


コツ⑥ 定期面談を「退職防止」に活用する

退職届を出されてから初めて、

「何か困っていたの?」

と聞くのでは遅い場合があります。

特定技能1号では定期的な面談も行われます。

この機会を単なる形式的な確認で終わらせず、

「仕事で困っていることはない?」

「人間関係は大丈夫?」

「生活で困っていない?」

「今後どんな仕事をしたい?」

と聞いてみることが大切です。

小さな不満の段階でわかれば、大きな退職理由になる前に改善できるかもしれません。


コツ⑦ 「辞めたい」と言える会社にする

少し不思議に聞こえるかもしれませんが、

「辞めたい」と安心して言える会社の方が、引き止めるチャンスがあります。

怖くて相談できない会社なら、外国人は会社に相談せず転職先を探し、

「もう次の会社が決まりました」

という段階で初めて退職を伝えるかもしれません。

反対に、

「ちょっと転職を考えています」

という段階で相談してもらえれば、

「何か会社で改善できることはある?」

と話し合うことができます。

日頃から相談できる関係を作っておくことが重要です。


コツ⑧ 母国語などでも相談できる環境を作る

日本語で日常会話ができても、自分の悩みを細かく説明するのは難しいことがあります。

特に、

人間関係、

ハラスメント、

給与、

将来への不安、

などの複雑な話は、日本語ではうまく伝えられないかもしれません。

必要に応じて通訳や登録支援機関などを活用し、

本人が本当に伝えたいことを話せる環境

を作ることも大切です。


コツ⑨ 日本人社員との「公平感」を大切にする

外国人を引き止めたいからといって、

「外国人だけ特別に給料を上げる」

「外国人だけ希望を全部聞く」

という対応をすると、日本人社員との間に不公平感が生まれることがあります。

逆に、

「外国人だから安くても仕方ない」

という扱いも当然いけません。

国籍ではなく、

仕事内容、能力、経験、役割、成果

などに基づいて公平に評価することが重要です。

外国人にも日本人にも、

「なぜこの評価なのか」

を説明できる仕組みが理想です。


コツ⑩ 本人の意思が固いなら尊重する

会社が改善案を出しても、

「それでも転職したいです」

という場合もあります。

そのときは、本人の意思を尊重することも大切です。

無理に引き止めることで関係が悪化してしまうより、

「今まで働いてくれてありがとう」

「次の会社でも頑張ってね」

と送り出した方がよい場合もあります。

そして、

「なぜ退職することになったのか」

を会社の改善材料にしましょう。

一人の退職理由を改善することで、残っている外国人や日本人にとって働きやすい会社になる可能性があります。


これはNG!やってはいけない引き止め

引き止めたいからといって、何をしてもよいわけではありません。

たとえば、

「辞めたら日本にいられなくなる」と脅す

在留カードやパスポートを会社が取り上げる

違約金を要求する

本人の意思に反して転職を妨害する

といった対応は避けなければなりません。

特定技能外国人には、一定の条件・手続きのもとで転職することが認められています。

在留資格を利用して外国人を会社に縛りつけるのではなく、適切な雇用管理を行うことが重要です。


一番効果的な引き止めは「辞めたいと言われる前」にある

実は、退職を申し出られた後の引き止めより大切なのが、

退職を考える前の職場づくり

です。

給料が適切である。

評価制度がわかりやすい。

上司に相談できる。

日本人との関係が良い。

生活上の困りごとを相談できる。

将来のキャリアが見える。

頑張ったことを認めてもらえる。

こうした職場なら、

「もっとこの会社で働きたい」

と思ってもらえる可能性が高まります。

これは外国人だけの話ではありません。

日本人社員の定着にも同じことがいえるでしょう。


まとめ

特定技能外国人から、

「転職したいです」

と言われたとき、一番大切なのは無理に引き止めることではありません。

まず、

「なぜ辞めたいのか?」

を聞いてみましょう。

そして、

給料

人間関係

仕事内容

生活環境

将来のキャリア

など、本人が困っている問題を一緒に考えます。

会社が改善できることであれば改善する。

それでも本人の転職意思が変わらないのであれば、その意思を尊重する。

つまり、特定技能外国人の転職を防ぐ一番の方法は、

「辞められない会社」にすることではなく、「辞めたくない会社」にすること。

これが外国人に長く働いてもらうための基本ではないでしょうか。

日本人と外国人

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